2022.7.10
『ピアノの本』Piano Communication Magazine No.279 7-9月号
クライアント 株式会社ヤマハミュージックジャパン
発行所 株式会社SCRコミュニケーションズ
フリー冊子『ピアノの本』の表紙イラストレーションを担当しています。
ウィーン古典派の次の世代の音楽家達は、ロマン主義と呼ばれています。
「ロマン」はもともとロマンス語のことを表していて、
語源を調べると古代ローマ帝国の時代まで遡ります。
ローマ帝国の公用語はラテン語ですが、庶民が使うのはロマンス語でした。
一方で公式文書などではない庶民が楽しむ物語はロマンス語が使われたので
それにちなんで「ロマン主義」と呼びました。
19世紀は、理性的であることを重んじた18世紀の反動で
人間本来の感情や情緒を重視するようになり、
空想の世界や自然を描く表現が好まれました。
すぐれた詩や文学が多く生み出され
それを音楽で表現する作曲家が登場した時代です。
ロマン主義の初期に活躍した一人として有名なのはフランツ・シューベルトです。
表紙画ではシューベルトの《魔王》の曲を取り上げました。
作曲したのは18歳のころだそうです。
シューベルトはその人柄が好まれ、貧しくも支えてくれる友人たちが多く
彼らに励まされ助けられながら音楽の道を進みました。
もう一人はフェリックス・メンデルスゾーンです。
彼が17歳の時にその序曲を作曲した《真夏の夜の夢》を取り上げました。
メンデルスゾーンの隣にいるのは姉のファニーです。
二人は裕福な家の生まれで、
この曲は余興で連弾で弾くためのピアノ曲として作曲したものでした。
後にオーケストラの曲に仕上げられています。
「魔王」は有名な詩人のヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテの
同タイトルの詩から、
「真夏の夜の夢」は文豪ウイリアム・シェイクスピアの戯曲から
着想を得てそれぞれ作曲されました。