2023.10.19

『ピアノの本』Piano Communication Magazine No.284 10-12月号

クライアント 株式会社ヤマハミュージックジャパン

発行所 株式会社SCRコミュニケーションズ

 

フリー冊子『ピアノの本』の表紙イラストレーションを担当しています。

 

 

今号で取り上げた作曲家とそれぞれの一曲は、

クロード・ドビュッシー(1862-1918)《月の光》

 

 

モーリス・ラヴェル(1875-1937)《水の戯れ》

 

 

エリック・サティ(1866-1925)

《家具の音楽》

 

 

フランシス・プーランク(1899-1963)《牝鹿》です。

 

 

 

 

彼らは、283号の表紙に描いたフランス国民音楽協会の創設メンバーの

サン=サーンス、フォーレ、フランクより後の世代の音楽家達です。

フランスで新しい音楽の世界を切り開きました。

 

 

この頃の音楽の歴史まわりには

このような特徴がありました。

 

・ドイツ古典派のようなすでにしっかり確立された形式とは

別の新しい音楽が求められた。

 

・ロマン主義に限界が感じられていた。

 

・ワーグナーの音楽への心酔にも限界が感じられ、

そこを脱して新しい音楽が求められた。

 

・美術界には新しい絵画の流派、印象派が登場した。

 

・パリ万博で紹介された民族音楽や

イスラム文化の影響の色濃いスペインの音楽が注目された。

 

・サロン音楽(上流階級)からカフェやキャバレー、カジノに流れる

大衆音楽に人々の興味が広がった。

 

 

また万博ブームも起こっており

そこで浮世絵など日本の文化も紹介されていました。

当時のフランスの画家たちが

“線で表される世界”というものに驚いたのもこの頃です。

街には地下鉄や百貨店も登場し

映画の発明もされて人々の生活を変えていきます。

 

そのような変化の時代の中で、

ドビュッシーやラヴェル、サティ、プーランクの4人は

それぞれのやり方で新しい絵画や異国の音楽、

都市にあふれる音、現実にある風景や物質の音に注目していきます。

 

そしてそういったものへのアンテナとして働いたのが

フランスらしい「ダンディズムの精神」でした。

 

いわゆる「ダンディスタイル」といえば、

ファッションにおいてイギリスで始まったスタイルですが、

「洒脱で、枠からちょっと外れて時に皮肉っぽいような在り方」

というダンディズムな物の見方は

むしろフランスで発展していきました。

 

彼らは上流階級の場所であるサロンから出て、

カフェやキャバレーの大衆音楽などスノッブなものにも

あえて注目していきます。

この4人の伝記などを読むと、

彼らの友人たちがそれぞれに「いたずら心がある」とか

「独特のユーモアがある」とか

「皮肉屋なときもある」などと評しているのを見かけます。

サティは特にそんなイメージがあり、

「音楽界の異端児」と呼ばれていました。

 

ドイツの作曲家たちはむしろ

そういうものを音楽から排する方向で考えていたので

このダンディズムの視点とそれをきっかけに生まれた音楽は

フランスらしさの1つだと言えます。

今回はこのダンディズムを全体のテーマに描きました。


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